同人、オリジナル、小説。
さて、俗にわたしどもの業界で「三重苦」と呼ばれている
のが、この三つのカテゴリ。
ひとつならまだしも、三つとなると、もう大変。
ご紹介がとにかく「むずかしい」のです。
しかしここに、その「三重苦」にぴたりと当てはまりつつ、
しかし、ぜひご紹介したい同人誌が一冊あります。
「空想都市」。
「空想都市が出てくる世界」をテーマにした、作品集です。
序文を書いているのが、あの「九里史生」さんだと
知れば、ちょっとオンライン小説を読む方なら
それだけで飛びついちゃうかもしれません。
ここでは、本誌の創作精神をできるだけ誠実に
尊重させていただくために、
ただ、作品そのものについてのみ、ご紹介します。
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全部ご紹介は無理なので、ここはひとつ、
「一行目(章題除く)」だけを引用させていただきましょう。
(小説は、一行目だけで、すべてを語る?)
引用、作者名(敬称略)、作品名の順。掲載順です。
「お金がありません」
――開影「Conversion Detective Ep.1 -It's no use crying over spilt milk.-」
〈メモ 影絵の町の噂〉
――橘太郎オートマチック「影見戸条/カガミトクダリ」
夕刻から続いていた霧雨は粉雪に変わり、焦茶色の煉瓦に囲まれた十三番街の街並みを白く染め上げていた。
――木倉俊文「十三番街に降る雪」
深夜、暗く細い石畳の路地裏に足音が響く。それと重なる荒い吐息。
――五月八日「Victorian Hell(o) Workers
音楽を奏でるために楽器を手にする必要はない。
――SHI-F「Rite of passage」
妙に冷えるな、と思っていたら、雪が降ってきた。
――八木山ひつじ「ターミナル・ヘブンズ・ロック」
上州は日本に残された最後の秘境である。
――chon「秘境群馬県の奥地に野生エルフの秘密都市を見た!」
以上、七名、七作品。
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200ページを超えるこの同人誌を、
気軽に買って、読む、というのは、相当ヘビーな
買い手であっても、なかなか勇気のいることかもしれません。
ですが、ご紹介した「わずか一行」のサンプルだけでも、
その秘められた筆力をお感じになられた方は、
ぜひ、この作品集をお買い求めください。
同人小説の、「オンライン小説」の、ひいてはエンタテイメント小説の
あり方、水準を知りたい(もちろんこの本は最高ランク)。
あるいは、自分でも書いていて、同じようにデビューを狙っている
他のひとの書き方を知りたい。
そういう方にもおススメです。
商品コード ■2000000048826
商品名 ■空想都市
サークル ■空想都市プロジェクト
【価格】1050 円 (税込)
【発行日】2009/11/15初版
【サイズ】A5判
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