「鬱な作品」というのは、創作系ではまぁ珍しくはありません。が、「鬱デレ」というジャンルがある事は、不勉強故初めて知りました。鬱でデレ、まぁ病んでデレよりは、多分マシじゃないかとは思いますが。
今回、ご紹介するのはタイトルもズバリ「鬱デレとプリンの疑念」、
サークル「Kingdom Come!!」さんの作品です。
前作はDLサイトなどで公開されていますが、知らなくて読んでも大丈夫です。
コミティア会場で歩いていて、最初は「鬱デレ」の文字になんだ?と引かれて読んだ訳ですが、鉛筆書きの荒っぽいタッチにグイグイ引き込まれました。"鉛筆書き""荒いタッチ"と、あまりほめ言葉になってませんが、内容と人物の内面にマッチしているというか、"スゴ味"みたいなものを感じました。特にサンプルページなんかね、最初開いてドキッと来ましたよ。
この作品を読んで「シンパシーを感じる」って人と「訳わかんね」という人って結構分かれそうですね。出来の善し悪しとかじゃなくて。自分に自信を持って進んできて失敗なんかした事無いよ、そういう人は後者でしょうし、「自分がここに居て良いのか?」っていう自信の無さ、不安を感じた事がある、或いはそれを通り越した諦念、怨念まで行った人は前者でしょうね。でも、自分はそういう人の方が、人として信頼できるし愛おしく思えたりする気がします。
劇中の彼女に対して、同じ班のクラスメート達は分け隔て無くつきあってくれたりしてくれて、それが一時の潤いに繋がりますが、「苦しみを受け止めてくれる」たった一人の彼がいる事こそが救いになっています。「今は無理に変わらなくて構わない」そんな彼女が笑顔に変われる日が来ると良いな…と読みながら思ってしまいました。
冬コミの新作は「少女でダウナーな探偵」だそうです。
楽しみにしてます。