COMIC ZINスタッフのおすすめ作品を紹介するこのコーナー、
今回ご紹介するのは、つばな先生『ホブゴブリン 魔女とふたり』(バーズコミックス)です。
■魔女とホブゴブリンの奇妙な関係■
いつも怒ってばかりで、食べ物だけじゃなく木でも何でも食べてしまう森の妖婆バーバ・ヤーガ。
そんな彼女の世話を焼いている暖炉の精霊・ホブゴブリンのポーリーン。
バーバのために食べ物を用意しても、用意できなくても
怒られてばかりのポーリーン、時には首から下を食べられちゃったりも。
全体的にヒドい扱いですが、でも、彼女は楽しそうにバーバの世話をしています。
何だか理不尽ですけど、微笑ましくもあるし、これはこれで一つの親愛の形なのかな……?
■バーバとポーリーンは何者だ!?■
でも二人の関係はこの世界の人たちから見てもやっぱり変なようです。
ポーリーンのお友達になった同じホブゴブリンのイモージェンも変だって言ってます。
そんなポーリーンのところに、王女にかけられた呪いを解くため、
その手がかりを求めて調査隊がやってきます。
ある日を堺にとっても大食いになって性格も変わってしまった王女さま。
なんだかバーバに似ているかも?
そしてポーリーンが持っているペンダントが
王女さまと強い関係のあるようですが……?
呪いをかけたのはバーバ!?
もしやポーリーンが本当の王女さまで、バーバに操られている?
でも、暖炉の妖精として火で燃やされても復活するからただの人間ではなさそう。
そしてバーバを思う気持ちや親愛も単に操られているだけとは思えない何かがあります。
果たして彼女たちは何者なのでしょう!?
謎が謎を呼びどんどん物語から目が離せなくなってきます。
■かわいくて、怖い世界■
そんな彼女たちの謎と関係は読んでのお楽しみとして。
この『ホブゴブリン』では、
鶏の脚が生えた家、ストローのような口の不思議な生物、
空飛ぶ丸太のような生き物、目がたくさんある六本足のトカゲなどなど、
かわいいような、ちょっと怖いようなそんな造形の生き物? たちがいっぱい。
首だけになっちゃうポーリーンもかわいいけれどもちょっと怖い?
イモージェンのご主人様も……これはすごいヤバい存在じゃん!?
楽しい! かわいい! と一緒に不思議さと怖さが同居するキャラクターたち。
そして、明るく可愛いポーリーンたちがお話を紡ぐこの舞台も、
そこには童話の原型が持っているような、ねっとりとした強い恐怖や妖しさも内包しています。
かわいくて、不思議で、ちょっと怖くて。
そんな魅力的な「つばなワールド」をぜひ堪能してください。
今回、単巻で近刊の作品ということでこの『ホブゴブリン』を紹介しましたが、
同じくつばな先生の作品『第七女子会彷徨』(リュウコミックス)や、
『見かけの二重星』(講談社)『バベルの図書館』(太田出版)も、
SF的な要素、ミステリ的な要素を多分に含みつつ
このかわいくてちょっと怖い不思議な世界が味わえます。
どの作品もすごくおすすめですよ!