今回のおすすめ作品は、1巻が先日発売になったばかり、
藤本正二先生『終電ちゃん』(モーニングKC)です!
■終電に乗る人の心強い味方・終電ちゃん■
仕事に、飲み会、プライベート。
夜遅くまで頑張って一日を終えた人々を最後に送り届ける最終電車。
そんな最終電車の上に乗って現れるのが終電ちゃん。
小さな女の子の姿をした彼女は、疲れた人を叱咤激励しつつ、
混雑をしっかりと捌きながら終電に乗せていきます。
本作はそんな終電に乗る人々と、
それを見守り続ける存在「終電ちゃん」とのドラマを描いていきます。
■厳しくて優しい終電ちゃん■
終電に乗る人達は皆疲れていたり酔っていたり、
あるいは何か事情を抱えていたり。
終電ちゃんはそんな乗客たちに
「さっさと乗りな!」
「二度と終電なんか乗るんじゃないよ!」
と強い口調で言葉をかけつつ、
終電で帰れなさそうな人や、忘れ物をしてしまった人、
何らかの事情で帰りたくない人、
そういった乗客たちを決して見捨てません。
接続をギリギリまで待ったり、駅員さんとケンカまがいのやり取りをしたり、
雪に凍え苛立つ乗客たちの怒りを一身に集めたり。
言葉使いは荒っぽくて厳しいけど、
彼女は「終電ちゃん」としての職務を果たすべく、
客全員がちゃんと家に帰れるように、
帰って幸せな眠りにつけるように常に心を砕いているのです。
その証拠に終電ちゃんが乗客一人一人に呼びかける時はいつも「名前」。
ずっと見ているから、みんなの名前をちゃんと知ってくれているんです。
そんな風に下の名前で呼びかけながら、
厳しくも親身に乗客たちに接する終電ちゃんは
まるで「お母さん」のような存在です。
一日を頑張った乗客たちと、その事をきちんとわかっていて
乗客を大切にする終電ちゃん。
両者の間に生まれる深夜のドラマは、どこか切なさもあるけれど、
とても暖かくて、心をギュッっと掴んできます。
■路線ごとに個性的な終電ちゃんたち■
本作の主役は日本で一番遅い終電となる「中央線の終電ちゃん」ですが、
他にも、ちょっと気位の高いお嬢様タイプの山手線の終電ちゃん、
おっとりした小田急の終電ちゃんなど、他の路線の終電ちゃんたちも登場します。
それぞれに個性的な終電ちゃん。彼女たち同士にも相性があったり、
そのやり取りもまた一つの見どころ。
今後他の路線の終電ちゃんも出てくるかも? ということなので
どんな終電ちゃんが出てくるかも楽しみですね。
終電に良く乗る人も、そうでない人も、きっと終電ちゃんに会いたくなる。
そんな素敵に優しい作品です。
おすすめ!
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